新卒で建設会社で働いている方や、すでに施工管理の仕事に従事されている方
施工管理の仕事が、自分に向いているのか?
このまま施工管理の仕事を続けて良いのか。
不安に思っている方も少なくないでしょう。
こちらの記事では、
- 施工管理の仕事が向いている人
- 向いていない人
- 向ていないと感じる人へのアドバイス
- 施工管理の仕事を辞めるとしたら?
といった内容をつづっています。
施工管理/現場監督として10年以上キャリアを積み、現在、工務店や工事会社へコンサルティング会社を経営する私が、経験談を交えてご紹介します。
施工管理の仕事とは
最初に少しだけ施工管理を簡単に説明すると
- 設計図を基に
- 予算内
- 工期内に
お客様の望む建物を建てることです。
①設計図は、お客様と設計士さんが打合せをして決めたものです。
建物を建てる地域の役所から「法的に問題ないので、建てていいですよ」と許可をもらった設計図を我々は受け取ります。
その設計図を基準に、我々は施工管理を行い建物を建てていきます。
②予算内とは、会社が計画を立てた予算内に収めることです。
施工管理の仕事はお客様との契約は見積書を出し工事金額や内容を確認して交渉することも含まれます。
そして施工中は工事のミス、手配ミス、仕様変更、近隣対応、台風等の想定外の対応なども含めて予算内に収めるのが現場監督の仕事です。
③工期内に建物を建てるとは、お客様と約束した期日までに建物を建てることです。
工事中問題が起きなければいいのですが、現場では様々な問題が起きます。
こういった問題が起きないよう事前に対策をしておくことは大事ですが、起きてしまったときの素早い対応も、現場監督さんには求められる仕事です。
施工管理の仕事が向いていない人
では、ここから施工管理の仕事が向いていないタイプの人を紹介します。
私の経験を踏まえてのことなので、あくまで参考までということで。
リーダーシップとコミュニケーション能力が低い(マネジメント能力)
建物を現場監督さんが直接工事をするわけではありません。職人さんが工事を行うための的確な指示を出すのが施工管理の仕事です。
- どのメーカーの
- どの材料を
- どのくらいくらい使うのか?
どの場所で、どのような形でどのタイミングで設置をするのかなどです。
初めは仕方ないですが、職人さんから言われないと動けないなどの受け身の方や人とのコミュニケーションが苦手な方が施工管理をするのは難しいと思います。
人に任せることを上手く行えない(なんでも自分でやってしまう)
施工管理の仕事は、的確に指示を出し、人に仕事をお願いすることです。
何でも自分で行ってしまい、人に任せることができない人は、施工管理の仕事は向いていません。
まぁ、職人さんの仕事を素人がいきなりやろうとしてもできないのでお願いするしかないのですが、現場監督として仕事の任せ方はとても重要なスキルになります。
年上の人との付き合いが苦手
新卒の場合、指示する職人さん達はほとんど年上の方です。
ですから、年上の方との付き合いが苦手な方は非常に苦労すると思います。
また現場監督は仕事を指示する側ですが、指示する側が偉いと勘違いすると職人さんからは嫌われます。
相手の立場、年齢、学歴、価値観、考え方などを馬鹿にする、見下す方は相手と良好な人間関係を作っていくのは難しいです。
昔でいう「ヤンキー」タイプに免疫のない人(苦手な人)
職人さんは様々なタイプがいます。
昔でいう「ヤンキー」タイプだけではありませんが、かつてヤンチャをしていた方は必ずいます。
「ヤンキー」タイプの方にも仕事の指示をし工事をしてもらうわけですが、「ヤンキー」タイプの方に免疫の無い方や苦手意識を感じている方は、ご自身のコミュニケーションスキルを上げないと施工管理がうまくいかない場合があります。
私は「ヤンキー」タイプの方が苦手なので、そういう方と接する場合は、普段よりテンションを上げ、大きな声でコミュニケーションを取るように心がけました。
小さなことも悩んでしまう人
悩むことは大切ですが、小さいことをいつまでも悩んでいる方は、施工管理の仕事は向いていません。
なぜなら、小さなことに悩み、思考が前を向いていない状態が続いていると、現場は常に動いているのに思考含めて前に進めないからです。
小さいことを悩まない、ちょっとしたことは気にしない、忘れる、無視をするという事ではありません。
病弱な人
建物は職人さんたちが作っていきますが、あくまでも現場監督を中心に指示を出し建物を作っていきます。
その中心となる現場監督さんが病弱で仕事を休まれてしまうと、指示する人がいないため現場がストップしてしまいます。
施工管理には、元気で仕事を休まない方が求められます。
ルーティン作業が良い人
オフィスでじっくり仕事をしたい方には、向いていません。
現場は同じ建物を何個もつくることはあまりありません。
また、建物を作っていく上で天候や職人さんが全く同じという事は絶対になく、そのため様々なことが起きます。
職人さんたちが安心して作業ができる環境を作っていき、そうすることで我々は安心して工事を進めることができるようになります。
毎日決まったルーティンで仕事をしたい方には向いていないでしょう。
施工管理の仕事が向いている人
続いて、施工管理の仕事に向いている人を紹介します。
ものつくりが好きな人
施工管理の仕事はものつくりです。
ですから、当然ものを作るのが好きな人は仕事として向いています。
子供の頃プラモデルなどにはまった方はお勧めですね。
実際に私の先輩で模型を作って、施工のやり方を検討していた方もいました。
施工管理では、小さい模型ではなく、実際のスケールでもの(建物)を作っていくので、かなりのやりがいにつながるのではないでしょうか。
仕事で体を動かし、外で仕事をしたい方
施工管理の場合は現場がメインです。
現場に出て、建物が予定通り作られているのかを確認するのが業務ですから外に出るのは必須です。
また会社の規模や社風にもよりますが、監督さんも職人さんと一緒に仕事をしているところもあります。
私の場合は、脚立や足場板などの仮設材の整理整頓や現場の掃除などで体を動かしていました。
パソコン作業もありますが、晴れている時、外での仕事はとても気持ちいいです。
リーダーシップを取り、みんなをまとめて何かを成し遂げたい方
私が学生の頃、施工管理の仕事を聞いていいなぁと思った点は、みんなをまとめて一つの建物を作っていくということでした。
私は学生の頃部活動を行っていて、人をまとめる部長という役職について活動していました。
そういった経験もあり、施工管理の仕事って部活動みたいじゃない?というのを思ったことを覚えています。
施工管理の仕事は、監督の的確な指示のもと多くの職人さんたちが仕事をするわけですから、リーダーシップスキルは非常に重要です。
リーダーシップを取り、みんなをまとめて何かを成し遂げたい方は施工管理の仕事に非常に向いています。
計画を立て、計画通り進めるのが好きな方
施工管理の仕事は、「設計図」「工期」「予算」を与えられ、それを管理して、お客様の望む建物を作っていくわけですが、建てるための計画が我々現場監督の仕事です。なので、例えばBBQ(バーベキュー)やキャンプや旅行など、普段行わない何かを行う際、計画を立てて実行している方は、施工管理の仕事は向いています。
「なんとなくでいけるでしょ」と、無計画で施工管理を行えば、現場はスムーズに進みません。
事前に綿密な計画があるからこそ、事前にトラブルを回避することができ、無駄や無理なく現場をスムーズに進めることにつながります。
施工管理の仕事は段取り8割とよく言われますが、普段から計画や予定を立て、行動していくのが好きな方は、施工管理の仕事は向いています。
人の話を聞くのが得意な方
施工管理の仕事は、職人さんが行った工事を管理し建物を建てていくことですが、正直細かいところまで全部を見て確認することはできません。パソコン作業もありますし、打合せもありますし、一日中現場に張り付いていることはできないからです。
だから、大切なのがコミュニケーションスキルであり、特に人の話を聞くことが得意な方は、施工管理の仕事は向いています。
職人さんの休憩時間や帰り際に、職人さんから現場状況について色々と話を聞きましょう。
それによって一人では把握できない現場情報を沢山仕入れることができます。
人の話をよく聞き、あなたの目で現場を確かめることをきちんと行っていきましょう。
仕事に豪快さやダイナミックさを求めている方
特にゼネコンの仕事になりますが、10憶以上の建物を建てる際の工事は、本当に凄いです。
大きい現場は、当然一人の監督さんでは管理しきれないですから、複数の監督さん達が集まり工事を管理していきます。
工程によっては、職人さんの数も1日100人以上、工事で使う重機もスケールが違います。
仕事に豪快さやダイナミックさを求めている方には非常に合っていると思います。
あなたが鉄骨の建て方工事の担当となった場合、自分で重機を手配し、鳶さんと打合せをし、建物の骨格となる鉄骨が組みあがっていく状況は、しびれます。(笑)
こういった大きな仕事は大手でないとできない仕事だからこそのやりがいを感じている先輩もいました。
仕事だけでなく、人生に豪快さやダイナミックさを求めている方にはゼネコンの施工管理の仕事はお勧めです。
施工管理(現場監督)に向いていない人が改善するために心がけたいこと
施工管理が向いていないと思っても、もしかするとちょっとした考え方や心の持ちようで改善するかもしれません。
ここで施工管理・現場監督10年の経験から感じたことをお伝えいたしますので良かったら参考にしてみて下さい。
誰が相手でも元気に挨拶する
施工管理が向いていないと思っている方は、まず元気がありません。向いている向いていないではなく、元気な挨拶ができないと、悪循環にどんどんはまっていきます。
まずは誰に対してもよい挨拶を心がけましょう。
整理整頓をする
整理整頓という言葉は、日常よく使われる言葉ですし、子供の頃から言われてきたことかもしれませんが、仕事ができない人は整理整頓ができていません。
この2つをするだけで、環境の整理整頓だけでなく、頭の整理整頓も進み、心が軽やかになり、仕事がスムーズに進みやすくなっていきます。
身だしなみを整える
汚れた作業着、汚れた靴、乱れた髪型など、身だしなみが乱れていないでしょうか?心の乱れは、身だしなみの乱れに直結します。
今の現状を改善するために、作業着を新しいのに変えてみる、靴を磨いてみる、髪型を整えてみるなどを行ってみてください。
気分が変わるのが実感できるはずです。
また身だしなみが整うと、あなたの心だけでなく、相手の心にも良い影響を与えます。
プライベートで初めて会う異性の方が、身だしなみが乱れていたらどのように感じますか?
良い感情を抱きませんよね。
作業着であろうと清潔感のある身だしなみは、知らず知らずの間に、相手の心に良い影響を与えます。
相手の心が良い気分になれば、接し方や対応も変わってきます。
できる施工管理の人は、ただ指示命令をするだけでなく、相手が良い気分で仕事ができるよう配慮できる人です。相手に良い印象を与える身だしなみを意識して、改善していきましょう。
信頼できる職人さんに相談してみる
職人さんは多くの現場監督さんを見ています。
自分が施工管理に向いていないなと思ったら、信頼できる職人さんに相談してみてはいかがでしょうか?
色々とヒントをくれると思います。
話を聞くと意外と自分が思っていることと相手の思っていることが違うことがあります。
意外と自分では気づいていない発見があるかもしれません。
自分が施工管理に向いていないなと思ったら、まずは信頼できる職人さんに相談してみてください。
良いものを食べ、よく寝る
良いものを食べ、良く寝る。これホントに大事です。
なぜなら、元気の源になるからです。
食べ物はあなたが動くためのエネルギー源です。
また、睡眠不足では体に疲れがたまってしまっていて、眠気やだるさがある状態で仕事をしなければいけませんし、そのような状態では良い思考、良い決断にはつながりません。体に良いものを食べ、良く寝る。当たり前ですが、やる気が出て前向きな気持ちが出てきます。これ、ホントです。
どうしても施工管理が向いていない?!と感じたら辞めるべきか?
どうしても施工管理が向いていないと思うなら辞めるべきで、迷うことはありません。ただこれを読んでいるなら、何かが引っかかっているはずです。
その場合は、自分の頭で考えず、信頼できる方に相談してみましょう。
またご自身の棚卸も非常に重要です。
施工管理が向いていないと思ったら自分の棚卸をする
- ご自身の棚卸とは、
- 施工管理を行っていて嬉しかったこと
- 成長を感じたこと
- つらかったこと
- 大変だったこと
などを書きだし、そこから自分の強みや弱みを見ていくことです。
なぜこれが強みかというと、つらかったという痛みの経験があるからです。
上手くいかなかったという経験があるからこそ、慎重に物事を考えることができるし、人に対して優しくも接することができるからです。これは、施工管理の仕事だけでなく、今後、人の上に立って仕事をする者として、とても大切な強みではないでしょうか?
自分からしたら大したことはなく、施工管理には向いていないと思っても、別な人が見ると素晴らしく見えるところも結構あります。
特に自分のメンタルが落ちている時は、自分のことが良く見えないので、その時の判断は気を付けてくださいね
向いていないと思った人におすすめの建設業に関わる仕事は?
現場に出て直接職人さん達とのやり取りをする施工管理が向いていないと思うのであれば、内勤もありです。
例えば、
意匠設計、設備設計、構造設計などの担当や見積・積算担当、購買担当、安全担当などの仕事もあります。
更に建設業経理というお仕事もあり、現場にたずさわるお仕事は沢山あります。
現場以外の建設業に関わる仕事をする人で現場経験がある人はとても有利に働きます。
建設業に関わる仕事をこれからもするのであれば、現場経験があることは確実に有利に働きます。
施工管理の仕事が活かせる転職先は他業種にある?
施工管理の仕事や経験が活かせる転職先は、他の業種にも、もちろんあります。
例えば以下のような業種や仕事です。
- 損害保険
- 設計事務所
- インテリアプランナー
- 構造事務所
- 測量関係の仕事
- 不動産関係の仕事
- 役所の建築課、土木課、都市計画課など
- 建材の販売会社
- 建設業向けのITソフト販売
- 建設業向けの採用支援
施工管理の仕事をすると、建物が出来上がる流れや材料の名前など様々なことを学びますが、
仕事をする上でとても大切なビジネススキルも身に付きますよね。
特に以下の5つのスキルは、嫌でも自然と身に付き磨かれます。
- マネジメント力
- 工程管理能力
- 危機管理能力
- 段取り力
- アドリブ対応力
転職で面接の際にご自身の強みとして、現場のエピソードと共に5つのスキルを相手に伝えると、仕事をしっかり行っている印象を持たれ、とても優位に働くと思います。
施工管理の仕事を辞めるなら35歳まで?
転職をするなら35歳までと昔は言われていましたが、正直今の時代では当てはまらないですね。
人手不足がこれからますます深刻になってくる中、資格がある方や施工管理の仕事ができる方は35歳以上でも重宝されます。
ただ年齢が上がっての転職で気になるのは、年下の上司に使われる可能性が高くなったり、あなた自身の仕事のやり方が出来上がるとその会社の仕事のやり方に合わせるのが大変になるという事です。
「えっ、そんなことしないといけないの?」「えっ、そんなことしてないの?」とお互いの常識が違うところがあり、それがかなりストレスです。
また、常識の違いは、お互いにとって当たり前なので、面接などでは気付けないことが多いです。
そういった意味で、一生行っていきたい仕事や会社を見つけていきたいなら、35歳までという期日を決め、次のステップへの転職を考えておくことは大切なことだと思います。
まとめ
転職を考えている施工管理職の方向けに、施工管理が向いている人、向いていない人について書いてみました。
転職を考える時は、自分と向き合う時期です。
どうしても給料や休みの条件を見てしまいますが、一番大切なのは自分の心がワクワクするのかどうかです。
仕事でミスを連発した、上司に怒られた、職人さんに嫌われたなど、嫌なことが多くあると、転職を考える時期があります。
それは、誰もが持っている避けたい欲求が反応している状態で、望む欲求からでてくる「自分は本当はこうしていきたい」というのが見えていない可能性が高いです。
その状態で転職をしても、残念ながらよい転職にはつながりません。
周りからの向いている、向いていないの評価ではなく、自分の「こうしていきたい!!」という気持ちを大切に、前向きに行動していくと新しい道が開けていきますよ。
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